もくじ
「アパレル業界の動向とカラクリがよーくわかる本」を元に要約メモしておきたいと思います。
時代に逆行する商慣行
契約書を交わす取引は売買契約で約3割、委託契約で約5割程度。返品、値引、その他の対応は「まぁよろしく」という曖昧な感覚で決定されていることが多い。たくさんの商品を仕入れて、決済日までに売れたものは代金を払い、売れ残ったものはメーカーに返品するという委託契約が日本の大手企業で一般化したが、その支払い期日を守らない小売業者が出てきたことや、メーカー側もこうした状況を利用して、「残ったら返していただければ」といったとにかく商品を送りつけるやり方が当たり前になってしまったことなどが背景にある。
百貨店の取引改革
- 買取仕入れ
納入メーカーや卸売業者から買い取って仕入れること。売れ残ってデッドストックになったものは返品できないので、仕入れた小売側の責任で値下げなどによって処分しなければならない。
委託や売り仕入れに比べて利幅が大きいため、高い粗利益率を確保できる。 - 委託仕入れ
事前に決められた期間、納入メーカーから商品を預かって販売を委託される仕入れ。期間中の在庫責任はあるものの、見切りによる値下げロスのリスクは納入メーカー持ち。売れ残り商品についても、納入メーカーが引き取らなければならない。 - 売上仕入れ(売り仕・消化仕入れ)
委託仕入れと似ているが、在庫管理責任も納入メーカーが持つ。在庫コントロールはすべて納入メーカーに主導権がある。通常はショップ形式をとることが多く、これを「ハコ売場」と呼び、買取、委託商品を小売側の販売計画のもとで編集した売場を「平場」と呼ぶ。百貨店がハコ貸し業と呼ばれるのは、こうした取引形態による。
仕入れて売る力の低下
ますます情報が溢れかえり、何が正しく、何が必要なのかが非常にわかりにくい時代となるため、小売業の存在意義は大きい。
流通の複雑さがもたらす高コスト構造
成長期は複雑な流通経路が活きた時代もあったが、安定期を過ぎた今では、できるだけシンプルな流通が必要。
強いブランド育成の遅れ
ドメスティックな日本のブランドと比べ、世界のブランドには以下のような特徴がある。
- オリジナリティがある
- 品質に対して妥協しない
- 自国の伝統、文化、生活様式に根ざした商品づくりを心掛けている
- 必ずトータルライフスタイル提案を考えている
- 長期間にわたって支持されるブランドづくりを前提としている
男の目・女の目
常に複雑な視点を持ち合わせることが必要。男と女では、やはり微妙に持っている感覚が異なる。
SPAはすべてを解決する業態か
メリット
- 鮮度のよい商品を適切なタイミングで投入できる。
- 中間コストを省き、適切な価格で商品開発ができる。
- 結果的に粗利益率を高くできる。
- 商品のクオリティを維持しやすい。
- チャンスロスを減らすことができる。
デメリット
- お客様の感覚とズレた場合に取り返しがつかない。
- 生産現場との密なコミュニケーションがなければ、品質の低下が起きる可能性がある。
- 売れ残りが発生した場合は廃棄ロスが発生するため、粗利が低下することも考えられる。
- 自社ブランドが飽きられた場合に、他ブランド商品を持っていないために対応が遅れる。
- 企画から販売までの一貫したオペレーションができているかどうかの定期チェックが必要。
異業種との競合激化
ケータイやiPod、海外旅行、カフェなど、新たな支出が増えて来た。
飽きる期間
- パソコン:698日(1年10ヶ月)
- ネクタイ:446日(1年3ヶ月)
- 衣料ブランド:1071日(2年11ヶ月)
- お出かけ着:648日(1年9ヶ月)
- ケータイ:534日(1年5ヶ月)