共感覚のひとつである「色聴(音を聞くと色が見える)」を持つ人がいたり、音楽を聴くと映像がみえたり、共感覚的比喩(「暖かい色」のように、感覚の表現が視覚に現れたもの)があったり、音と形、なんだか結びつきそうでなかなか解けないものがあってモヤモヤしていたのですが、この映像を観て解けそうな気になりました。そして、ちょっと本気で研究して行きたい気になりましたよ。
今年は「音と形」の謎を解いてみたいです。こういうミニマルなものやフラクタルって、きっと人間の無意識の部分にあって、クリエイターによって音や形として表現されているのではないかと思って。
曼荼羅の形が、実際の音によって作ることができるものだったなんてグッときますよね。
「心を動かす音の心理学 ― 行動を支配する音楽の力」をもとに要約メモです。
01_なぜ、人間には音楽が必要なのか?
音楽は生きる力と密接に関係していた!?
音楽を持たない文化はない。音楽が生まれたのは四万年前。人類が急激に発達する時期に音楽が生まれた。
リズムは体と結びつき、メロディーは脳と結びついている。求愛の表現として音楽や踊りは、体力や経済力をしめすパフォーマンスだったと考えられる。常に明日の食料の心配をしている男に、女は惹かれない。
気を失った人が意識を取り戻すのも目よりも耳が先。聴覚は大脳辺縁系に直結しているので、感情に直接訴えかけることができる。
02_音楽は夢を実現させる力となる
大脳辺縁系で感情が生まれる
大脳辺縁系は脳の中でも特に原始的な部位で、喜びや怒りなどの感情や、攻撃、食事、空腹、睡眠、逃走、性行為などの行動を支配している。
03_音楽でストレスを消す
昔のストレスは長く続かなかった
狩猟時代のストレスの要因は、自分たちに危害を与える動物や気候などだった。現代のストレスは会社での問題、将来の不安など、連鎖的に考えてしまい、長期に渡るストレスが多い。
音楽で刺激されるA10神経
A10神経は、脳の「視床下部」から「前頭前野」の領域までつながっている神経。前頭前野は「顔では笑っているけど、じつは怒っているな」と考えたり、高度な認識能力を持っている場所。
A10細胞が刺激されると、快感ホルモンであるドーパミンを分泌し、「やる気中枢」とも呼ばれる側坐核を活性化させる。
クラシック音楽は、A10神経を刺激し続ける
A10神経には、いくらでも快感を運ぶという特徴がある。何度聴いても脳はしっかり喜んでくれる。
音楽から感動を感じる理由として、意外性の影響が大きい。長い歴史の中で残ってきたクラシックは意外性に満ちている。
人間は期待から少し上に外れると感動を感じるようになっている。
悲しいときには悲しい音楽が良い理由
落ち込んでいるときに明るい曲を聴いても精神的には癒されない。まずは自分の気持ちを代弁してくれるような音楽を選んでみる。
04_音楽は思考力を高める
クラシックを聴いている人は頭が良い?
「モーツァルト効果」として拡大解釈されたが、クリエイティブな仕事をしている人はクラシックに行きつく傾向が高いように感じる。
クラシックは思考力が身につく
クラシック音楽の最大の特徴は「構造的」であること。しっかりとした音楽構造が土台にあり、作曲家の天才的なセンスが組み合わさってできたもの。
古典派といわれるベートーベンやハイドン、モーツァルトの時代の音楽はしっかりとした構造を持っていた。ショパンのようなメロディ重視と思われるような作曲家でも、計算しつくされた複雑な和声構造がある。
ソナタ形式、ロンド形式、変奏曲など、クラシックは論理的な構造を持っているものが多いのが特徴。ソナタ形式(提示部→展開部→再現部)のように、人の思考プロセスにも似ていると考えられる。
05_音楽で変わる行動心理学
マスキング効果
BGMによって、レストランでの隣の声がマスキングされる。うまく利用することで、自然な空間を演出できる。
イメージ誘導効果
BGMのもうひとつの効果は「イメージ誘導効果」。お店の雰囲気を明るくしたり、高級感をだしたり、楽しい雰囲気を作ったり、お店のイメージを決定する効果のこと。ターゲットを絞るには「覚醒度」を意識することからはじめる。覚醒度が高いと気分が高揚し、覚醒度が低いとリラックスする。
感情誘導効果
BGMの三つ目の効果は「感情誘導」。動作、知覚、記憶、学習、意思決定など、ほとんどすべての行動に関わるもの。
行動誘導効果
「イメージ誘導効果」「感情誘導効果」とともに、BGMの役割として重要な要素が「行動誘導効果」。音楽が人に与える影響としては、最終的にすべてここに行きつくといっていい。
音楽のテンポを変えると歩くスピードや食べるスピードが変わったりする。
居心地の良いお店の共通点
居心地の良いお店の共通点は、トータルでバランスよく雰囲気を作り上げるお店。
店内の照明、メニューの質、イスの素材、料理の味、香り、接客の雰囲気など、人は五感をフルに使って無意識のうちに判断している。たとえばインテリアのセンスがよくても、メニューがコピー用紙を使っていてはすべてが台無しになりかねない。
飲食店に適したBGMの例
飲食店で流す音楽は、ボサノヴァとジャズが選ばれることが多い。このふたつの特徴は…
- 調性が曖昧(中性的)
- 音量の変化が少ない
- 声のメッセージ性が強くない
空間を音楽で埋めるという意識
人の声は、男性で110〜115Hz、女性で220〜270Hz。隣のお客さん同士の会話を聞こえなくさせるなら、周波数の近いピアノの音を流してマスキングするなど。ブラインドで仕切るよりも美しく解決できる。
BGMでターゲットを絞る
カフェの入り口に「ケーキセット 3,000円」と書かれていれば、中学生が気軽に入ってくることはなくなる。それと同じようにモーツァルトのBGMが流れていれば、言葉を使わずにお店のメッセージを伝えることができる。
お店のコンセプトは音楽に現れる
人間には「集合的潜在音楽」というものがある。長調が明るく、短調が暗いと感じられるようなもの。- 増四度の和音は緊張感、不安感を感じさせる
- Dドリアン旋法を使うと、無調性的でジャズっぽい雰囲気がで出せる
- 周波数が低い曲は黒と相性が良い
06_聴覚の感覚を研ぎ澄ます
忘れられがちな聴覚感性
見たものだけではなく、人間は音から事実を判断したり、音から行動や感情に影響を受けていることが多い。
太古の昔、生活するためには耳で判断しなければならないことが多かった。現代でも、山に行って遠くから聞こえる川のせせらぎから水の場所を判断するなど、生活に必要な感性。
現代人は過剰な音にさらされている
音が溢れた現代では、「自分に関係のない音は聴きたくない。必要な音だけを聴く」能力が強化される。 普段イヤフォンで聴いている音楽のボリュームを少しずつ下げてみることで、聴覚の感度を上げることもできる。