これで世界が変わるコマンド
InDesign で「⌘+A、⌘+C」、ネットの世界へ「⌘+V」。
このコマンドで印刷データからネットの世界へと飛びこむことができる。これで本はオンラインになれます。適切なデバイスで本を読むことができて、著者にも対価が支払われる仕組みづくり。電子書籍のすばらしい未来から現代を引き寄せたいのです。
最近の本の買い方
あくまでも個人的な話ですが、ここ数年の本の買い方は変わっていません。書店で気になった本は iPhone の Amazonアプリでバーコードスキャンして「ほしい物リスト」にどんどん追加していきます。これをあとで吟味して、読む/読まない(買う/買わない)に分けていきます。ネットで気になった本も同じく「ほしい物リスト」に追加しておいて、ジュンク堂書店などに行ったときに検索機でザックリと本の場所を調べます。そして実際の本を見て文体や内容が合いそうだったら買います。
いま動いている本
六本木ヒルズ49階のライブラリー academyhills には、新刊も含めて数千冊の本があります。新刊もどんどん入荷してくるので、さらっと読み飛ばしたい場合なんかに重宝してます。本はそのまま購入もできます。これって普通のというか、街の書店と同じシステムですよね。再販制度によって守られており、ある種の本は返品されて、また新しい本が入ってくるという。
academyhills では、読み終わった本を置く場所が用意されています。ここに集まっている本は、実際に誰かが手にとって読んだ本です。これをチラチラ眺めているのですが、どんな本が動いているか見えるのは面白いですね。そこに集まった人が、どんな価値観を持っているかという「人が見える」ので、物語性を感じるのですね。年明けには、日記や習慣などの本が多かったように思います。
青山ブックセンターのセンスは健在だった
同じく六本木の、青山ブックセンター。ここはデザイン業界の人ならおなじみのアート系書籍の宝庫です。いまではこの分野だと蔦屋書店や BOOKMARC の方が強いのですかね。青山ブックセンターは棚ごとに担当者が分かれていて、その棚のセレクトを責任をもって行っていると聞いたことがあります。新刊や売れているビジネス書はさておき、各分野のマニアックな本のセレクトがやはりセンスありです。デザインであれば「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」「アフォーダンス-新しい認知の理論」などは押さえられています。
ネット書店と実店舗の両方を持っているところであれば、ネット書店でユーザーの傾向などを蓄積していき、それを実店舗に反映させることもできるのだと思います。それとは逆に、実店舗で手にとったり少し立ち読みしたけど買わなかった本、それを置いておく場所が用意されていれば、何かみえてくるものがあるのかも知れませんね。
お客さんの言われたことに対応しているだけのやり方、市場の変化に対応していくという後手後手のやり方では、お客さん側に潜在的な不満が溜まっていくばかりなのです。お客さんは自分でどんなサービスを必要としているのかに気がついていないし、これまでに味わったことのない意外性も受け入れられるかも知れません。角が丸められていくのもつまらないので、どんどん尖った本屋ができてほしいのです。
まとめ直しのコンテンツに価値はあるか
書店はセレクトショップですよね。Amazon のように品揃えが価値となる場所ではないはずです。セレクトショップという意味では、たとえば表紙が赤色の「赤い本」だけを徹底的に集めた書店なんかもありうると思います。また、ファニチャーブランドとのコラボで、ライフスタイルの提案もできるかも知れませんね。
ネットには、情報のキュレーションサイトや人気の記事を集めたサイト、まとめサイトなどがありますが、その情報元だけでなく、まとめ直し、くくり直した情報そのものにも新しい価値が生まれていると感じています。
紙の書籍にも、他の本からの引用や参考文献などがあります。「本」という枠をいったん取り払って考えてみれば、コンテンツをセレクトしたり編集をすることで新しいコンテンツが生まれていきます。そのコンテンツ自体に価値が生まれるのであれば、「本」として成り立つのではないかと思うのですね。
――つづきます。