Amazonの価値

Amazonは、とにかく品揃えが豊富ですぐに届いて便利。安心の梱包がされて送料無料。その便利さに惹かれてリピートしています。価格コムが「賢者の買い物」というタグラインを掲げていましたが、これは価格比較サイトのユーザー心理を捉えていると思うのです。価格比較サイトは、お金が無くてなんとか安く買いたい人の場所というよりは、むしろ賢く買いたいと思っている人が多いと聞きます。

仮に、Amazon 一択で購入することが賢いとされるのであれば、Amazon がブランドとして成り立っていて、そこで買うことに自体に価値があるということです。

すばらしい(だけの)サービスでもなく、先駆者というだけでもなく、ブランディングやマーケティングだけでもない。「このサービスを使う自分は賢い」そう感じられるものは強いですね。「Amazonで送料無料だからポチるわー」と、そういいたくなる仕組みが Amazon にはあります。

Amazon Web Services

Amazon は物販だけではなく、クラウドサーバーなどでおなじみの「AWS」のサービスを行っています。AWS の立ち上げを知った時には、Amazon の先を見据えたインフラの強さにぞっとしました。ビッグデータを扱う土台はすでに作られているということです。

Kindle Paperwhite を使ってみた

iPhone/iPad で電子書籍を読むと、なんだか文字が浮遊していると感じます。対して Kindle Paperwhite は文字がちゃんと定着していると感じます。これは人それぞれの相性だと思うけど。iPhone/iPad はスクリーンの RGB やバックライトによる光、Kindle Paperwhite は E Ink のベタ感というか、なにか旨味のような、感覚を刺激してくれるものがあるように感じます。

触った限りでは、Kindle Paperwhite が「いま選択できる中では一番まともな」電子書籍リーダーだと思います。十分不満はあるけど、他に選択肢がないのですね。

新しいデバイスの導入時期にはコンテンツの豊富さも重要です。吉川英治の「宮本武蔵」など古典も充実しています。青空文庫版なので無料です。新しいサービスに新規会員登録してもらうのはそれなりに敷居が高いものですが、これまで通り Amazon のアカウントで購入ができるので、「コンテンツの品定め」が最初の行動となります。

Kindle Paperwhite の良いところ

Kindleは、きょうは目が疲れたから大きな文字で読もう、といった使い方もできます。大好きな筑紫明朝で読めることも大きなメリットです。そう、Kindle Paperwhite は筑紫明朝がデフォルトでインストールされているのです。

これは紙ではなくWeb的な考え方に近いのではないかと思います。グラフィックデザイナーが Webサイトを設計すると、ほぼ例外なく階層構造になります。パソコンのフォルダの考え方ですね。また、意図したところで改行したい。スペースやレイアウトは固定したい。紙のように端っこ(コンテンツの表示が終わるところ)が欲しい。それらを形にした結果、PDFのようなWebサイトができあがるのです。通常、印刷物は制作側が意図したレイアウトがそのままアウトプットされます。見る人によって変更されるようなことはありません。

Webサイトがそうあるべきなように、閲覧者の都合によって再レイアウトされることを許可する寛容性は必要ですね。見る人の都合だけではなく、デバイスの都合だってあります。スクリーンに端っこは存在しません。巻物のように伸ばせばいくらでも伸びていくものです。Webサイトを閲覧できるデバイスはいくらでも存在します。

印刷物から電子書籍へ継承するべきもの

グラフィックデザインやエディトリアルデザインで培ってきたものは、ふんだんに電子書籍へ継承するべきだと考えています。特に文字組みですね。純文学の小説に丸みを帯びたフォントが使われていては、あまりにイメージが相違します。一行の文字数に対する行間の調整など、グラフィックデザイナーが得意とするところです。

本を買う前にペラペラとめくってみて、文字が小さいから買わないとか、一行の文字数が多すぎる、行間が狭いという理由で買わなかったことはいくらでもあります。つまり、それだけ本の体裁は売りになるということで、本の評価にも直接関わるものだと思います。

印刷物の現場での校正も神がかったものがあります。誤字脱字チェックはもちろん、英数字は半角に統一するなど全角半角や記号の統一。行頭が「す。」で始まらないような禁則処理の方法、カーニング/トラッキングの調整などです。

これはまったくの持論ですが、Windows XP あたりのシステムフォントが悪い風習を作った。なので、デバイスが変わればある程度は解決していくものだと考えています。デバイスの進化そのものが細かな問題を解決していくものと考えています。

最初は本をネットで買うなんて信じられませんでした。その不安をかき消すように、レビューは機能しました。電子書籍の場合は、文体が自分にとって読みやすいか、これは電子書籍のサンプルが機能しています。目次は、各章へのリンクとして機能するだけでなく、全体の流れをザックリと把握するためのものでもあります。

――つづきます。

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