はじめに
旅の道中、宇宙飛行士の話を思い出した。
最初の1,2日はみんなが自分の国を指差していた。3,4日目は自分の大陸を指差した。5日目にはたった1つの地球しかなかった。
――スルタン・ビン・サルマン
MEME(ミーム)は人から人につながる想い
旅を続ければ続けるほどに、最近MEMEをよく感じる。
MEMEとは、人の意思がまるで遺伝子のような働きをして、人を進化させるもの。習慣、スキル、物語のような、文化を形成するための情報。遺伝子が生物を形成する情報であるように、MEMEは人から人へと伝わって文化を形成するための情報。それに触れた人を進化させるモノリスのようなもの。
ミーム – Wikipedia
そこにある何でもないような物から、人の想いを感じることがある。同じ家や空間を人と共有することで、その人と同じ時系列で交差はしていなくても、ましてやまだ出会ってはいなくても、物を介してつながっていることを感じる。だからこそ、物はただ機能すれば良いという視点ではなく、その物に触れた人のエネルギーが良い方向に増幅されるような視点で作られていくべきだ。
MEMEは美しく言語化されたテキストであり、美しく伝わるビジュアルである。自分の中で、モノリスのように度々人生の転機で目の前に現れるものは「父の死」だ。あれがまさしくMEMEだったと、いまつながった。
父の死|TokyoHeadTerminal
非言語コミュニケーション、その意思は誰のもの?
NoUIで動くデバイスが増え、人がWebブラウザを介して閲覧するインターネットの価値がなくなる日。知識や情報は集合知という全体価値になって、個の中に保有する必要がなくなる。そんな時代の中で、人が無意識下で感じているものが部分価値を持つ。
個の中にある想いやアイデアは、自分の中から溢れ出てきたものではない。無意識下でつながっている人同士の想いの濃度が上がって言語化/ビジュアル化されたものであり、みんなの想い、集合知だ。
あなたがすごいのは、その能力を活かせる集合知の一部だからだ。わたしがすごいのは、その役割をまっとうしているからだ。
良いエネルギーを増幅させるような質量の高いMEMEを、この地球にたくさん置いていきたい。
さいごに
手塚治虫の「どろろ」の百鬼丸みたいに、無くした身体のパーツを取り戻しながら旅をしているのではないかなと思う。すべてが必要な体験で、出会った人と相互に何かを交換している。
曼荼羅のビジュアルみたいに、ひとつがすべての総和になる。寄ったり引いたりしながら、価値観が日々アップデートされ続けていく。本当に旅する人生を選んでよかったと思う。いや、誰かのMEMEがそうさせてくれたのだ。