DAY1「富山の実家に来た」

ひとり暮らしの母が施設に入り、富山の実家が空き家になった。少し実家に住んでみて、新しい生き方を模索してみようと思う。

日記アプリ「Day One」で簡単な日記をつけているんだけど、ちょうど1年前に多拠点生活/アドレスホッパーになるために家を手放したようだ。

実家に行く前日は東北にいて、角館→秋田→新潟→高崎→富山のルートで9時間ほどの移動だった。富山駅近くのホテルに1泊してサウナ。翌朝、ガッツレンタカーで軽四のワンボックスに乗って実家に向かう。旅の道中でガッツレンタカーをよく利用したが、ガッツ石松の好感度がどんどん上がっていく。企業努力とタレントの好感度は結びつけてはいけないと思う。

どんなに方向音痴でもカーナビ無しで来れるのが実家だ。車庫に車を駐めて玄関に向かうと、Amazonで買った掃除道具と日用品が置き配されていた。庭の松の木が大雪の影響で倒れていた。家の中は想像していたほど散らかってはいなかったが、必要ないものを整理していこうと思う。車庫においてある大きなライスキーパーをみて、これも捨てるのかと心が折れかけた。掃除機の紙パックがいっぱいになっていたので買う必要があるが、それよりも新しい掃除機を買おうか検討しようと考えた。

射水市役所で転入届をして、射水警察署で免許証の住所変更をした。20数年ぶりに本籍と現住所が同じになった。帰りにコードレスの掃除機(PanasonicのMC-SB31J-W)を買った。これから大掃除大会。家の掃除をしていたら本家のおばちゃんがやってきて話をした。「明日は燃えるゴミの日なので」と、庭に落ちている木の枝を切って袋にまとめてくれた。そうしているうちに姉がやってきて、タンスの服の整理をしてもらった。ほとんどが処分するものに分けられた。台所のシンクまわりを掃除して、トイレと洗面所、風呂の掃除をした。ひとまず水まわりが綺麗になった。

掃除中、近所の人がやってきて「玄関前の荷物、ちゃんと受け取った?」と心配して聞きに来てくれた。Amazonの置き配さえも見られているし、家に帰ってくればそれも見られている。田舎のネットワークは超高速で、セキュリティレベルも極めて高い。ソーシャル・エンジニアリングに対しても強固だろう。

サマリーポケットから荷物が届いた。ダンボール4箱。預けていた荷物をすべて取り出した。キャンプ道具、シュノーケリングセット、登山用品などの遊び道具も含めて、自分の持ち物のすべてだ。このくらいの物の量で楽しく生きていける。実家に蓄積された物をみて、あらためて物差しを正す。

昼間は暖かかったけど、夜は雷雨で少し寒い。明日の朝は燃えるごみを出せるだけ出そうと思う。

姉「(母の介護)色々と大変だったんだよ。もうちょっと早く(実家に)帰ってこれなかったの?」
俺「(母と)一緒に住むのは無理だったわ」
姉「あー、まぁそっか」

姉の言葉が何度かリフレインした。

DAY2「姉が50歳というパワーワード」

無印で買った洗濯機が届いた。リサイクル引き取りのオプションを申し込んでいたので、古い洗濯機は引き取ってもらった。家電リサイクル券は数日前にいた盛岡の郵便局で買っておいた。まだ使おうと思えば使えるものはあるが、古民家に新しい命を吹き込んでいたいので、自分にとって必要ないものはすべて処分して、必要なものはまた新たに揃えていきたい。新しい生活のために穢れのようなものを落として禊をしたい。これは気持ちの問題だ。

同じ機能を持つものが2つ以上あるのが実家だ。炊飯器が3つあった。正月に白米と赤飯の両方が炊いてあったのを思い出した。車いっぱいにゴミを詰めてゴミ処理場「クリーンピア射水」に向かった。

受付で車を降りて、免許証を見せて射水市民である確認をし、電話番号を伝える。家庭/事業ゴミか、燃える/燃えないなど、持ち込んだゴミの内容を申告する。手で持てる大きさの電化製品はその場で無料引き取りしてもらえる。そうしてるうちに車の重量が測られているようだ。精算用のICカードを受け取る。次に、燃える/燃えないゴミそれぞれの場所に行ってひたすら捨てる。ゴミを捨て終わったら、信号機が青になっているのを確認して精算所に進んで車の重量を測り、ICカードをタッチすると金額が表示される。最初に測った車の重量との差分でゴミの重さを測っているようだ。10kgで120〜150円なので、車にぱんぱんにゴミを詰めて行っても1,000円台で収まる。支払い終わったらICカードを返却して終了。

燃えるゴミ/燃えないゴミ/粗大ゴミそれぞれ捨て方を経験したので、もうだいたい要領を掴めたと思う。夕方前にもう一回捨てに行って今日は3往復した。100袋くらい捨てた。

夜、姉が実家に来た。親の介護世代だねっていう話から、「私はもう50歳」というパワーワードがでた。お互い様だけど衝撃的。

DAY3「捨てられないローズウッドのタンス」

ひき続きゴミの処理と家の掃除。朝イチでゴミ処理場に行って燃えるゴミを20袋ほど捨ててきた。50kgでゴミ処理料は600円。各部屋の天井の四隅に蜘蛛の巣が張っているので、天井の煤払いをしながら観察をした。部屋によって蜘蛛の巣が多い部屋もあれば綺麗な壁もある。日当たりや風通し、湿度の差によるものかなと考えた。やはり、灯油ストーブを頻繁に使っていて温度と湿度の変化が大きいキッチンは汚れが多い。昔の木造の建物なので隙間風が多いことが幸いしてか、家全体でカビはほどんどなかった。特にローズウッドのタンスは状態が良い。中に入ってる着物や洋服は時間が止まったように仕舞われていた。雪国で築50年くらい経っている家なので、この知見はためておきたい。

夕食を外で済ませて帰ってくると、茶の間の明かりがつけっぱなしだった。いまは誰もいないけど、外から見る茶の間の明かりで、家族がいる温もりを感じていたなぁと思い出した。夜にタンスの整理をしていたら、親が結婚した頃のアルバムが出てきた。家は新築で、床の間の前で結納品と一緒に2人が写っていた。新婚旅行は「伊東方面」と、手書きのタイトルが挟んであった。このアルバムは親から一度も見せてもらったことはなく、ずっとローズウッドのタンスの中で眠っていた。ローズウッドのタンスは母の嫁入り道具だ。

DAY4-6「今日から3日間のホテル生活」

仕事で高速なネット回線が必要になるので、今日からホテルに3泊する。実家でまだ快適な空間を作れていないので、少しの休息も含めて。

最終日の夜にオンラインイベントに参加して、話の途中でふと思いだしたことがあった。「ここはとても良い町だからワーケーションも盛り上がっていくと思う。でもこのくらい良い町は日本中いくらでもあるよね」の言葉。そういう意味では、やはりそこに集まる人、その土地に住む人が重要なポイントだよねって思った。風と土が融合して風土になるって良くできた言葉だと思う。

DAY7「陰翳礼讃(いんえいらいさん)はデザイン本」

掃除をしていたら従兄弟(本家の長男)がやってきて近況報告などをした。家の管理や田んぼをどうするのかなど、共通で抱えている問題を共有できた。無印の冷蔵庫と電子レンジが届いた。古い冷蔵庫を引き取ってもらった。新しいガスコンロも設置してようやくキッチンが使えるようになってきた。

無印で食器とカトラリーを買った。浅皿の大中小、深皿の大中小、グラスの大中小。これまでの生活で培ってきたものをそれなりに活かし、新しきも取り入れた、バランスのよいセレクトだと思う。真っ白ではないベージュのお皿を見て、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を思い出した。日本人の肌の色によく合う木の色、日本家屋に横から入り込む光、版画をみる角度、羊羹に差し込む光、陰翳礼讃は短編だけど日本文化のロジックが詰まっている。当時はデザインの参考書として読んだ。

お湯が出なくなった。それでこの家の熱源がわかったんだけど、プロパンガスはガスコンロだけで、湯沸かし器は灯油を使っている。200リットルの灯油タンクが空になっていた。配達灯油をお願いしよう。今日はスーパー銭湯のサウナでととのう。

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