「Webプロジェクトマネジメント標準」を元に、自分自身が理解しやすいような形で要約メモしておきたいと思います。
見積のコツ
見積金額とともに提示すべき重要な情報として、見積の根拠(見積方法)、前提条件と制約条件、見積の精度があります。
▼見積の精度
- 超概算見積
本当にザックリとした見積です。見積額の制度は−50%から+100%の間に設定されます。例えば10万円なら、5万から20万の間で増減する可能性があることになります。備考欄には「※現時点での概算となります。−50%〜+100%程度、費用が変動する可能性があります。最終仕様時に改めてお見積いたします」などと記載しておきます。 - 概算見積
相見積や発注が確定する前のタイミングで使用されることの多い見積です。RPFや資料、打ち合わせでの情報をもとにつくる、比較的ブレの少ない見積です。見積額の制度は−25%から+50%の間に設定されます。例えば10万円なら、7.5万から15万の間で増減する可能性があることになります。 - 確定見積
プロジェクトが進む中でスコープやスケジュールにも変更・修正が起こるため、見積額は−5%から+10%の増減が許容されます。例えば10万円なら、9.5万から11万の間で増減する可能性があることになります。ただし、スコープが変更になっても金額は固定というケースが実際には多いです。
▼見積の手法
クライアントは大まかな費用を把握しようとしているのか、相見積をとろうとしているのか、正式な契約を前提としているのかということを把握したうえで使い分けます。
- 類推見積
プロジェクトのスコープの精度が粗いときや見積を急いでいるときなどに有効な手法です。過去の類似プロジェクトをベースに、現在のプロジェクトにあわせて調整して算出します。「トップダウン見積」とも呼ばれます。 - ボトムアップ見積
個々のアクティビティについてコストを算出し、金額を算出する方法です。クライアントとのミーティングで作業内容や行程、単価、数量、ページ数などをできる限り正確に盛り込みます。細かくブレークダウンすればするほど、見積の精度は高くなります。手間は掛かりますが、概算見積や正式の契約のための見積ではこの手法が用いられます。
▼コストダウンの具体的な方法
無理なコストダウンはプロジェクトの破綻の原因になります。スコープやタイム、品質など、ほかの制約条件とバランスをとりながら、プロジェクト目的達成のために最善の調整がされなければいけません。
- 見積を早い段階で具体化する
見積の作成時に不確定要素があると、どうしても変動リスクを上乗せしてコストの算出をせざるをえません。逆に、必要な成果物や作成内容が具体的であれば実際の作業価格に近づきます。クライアントからできるだけ具体的な情報を引き出すことで、見積時に低コストを提案できます。 - 汎用技術を活用し、カスタマイズを最低限に抑える
特殊なカスタマイズが必要な案件では、工数が格段に増えてしまいます。コスト増につながる部分をできるだけ汎用的な仕様に変えることを提案することで、低コスト化が図れます。 - コンテンツをクライアントに用意してもらう
サイトに掲載する文言や素材などをクライアント側で用意してもらうことで、制作工数を減らすことができ、コストダウンにつながります。ただし、クライアントから提供されるコンテンツのクオリティが低い場合、成果物の品質も引っ張られてしまうため、事前に品質レベルの確認と品質を維持するための対策は必要です。 - 物販サイトなどにおけるレベニュー・シェア導入
サイト制作を定額請負ではなく、共同事業契約にし、収益に応じた利益を分割する制度です。運営後の利益から制作費を回収するので、コストを調整することが可能になります。また、プロジェクトの成功に向けたモチベーションをクライアントと制作側でより強く共有することができます。