商品が売れなかった理由を、デザイナーは MD のせいにし、MD はプレスのせいにし、プレスは営業のせいにし、営業は Webサイトのせいにし…
そうやって進化していく良いところもある反面、水掛け論になってしまってはなかなか良い結果がでませんよね。
震災後に強く実感したことですが、物が売れる理由というのは「今の心理状態とちょうど合う物を、適切なタイミングで魅せる」ところから来るのではないか。いま求めているものは自分自身の映し鏡のようなものではないかと感じました。
こんな怪しい石をいったい誰が買うのだろうと思っていたら、実際に自分が病んでいる状況では藁をも掴む想いで買いそうになるかも知れません。
Webサービスも同じことが言えますね。カタカナで言うと「プロダクトアウトではなくマーケットインが基本」ということになるのだと思いますが、人がいない場所でどんなに大きな声で叫んでいてもなかなか伝わりません。
常ににぎわっている場所に飛び込むためにも、ガチガチにシステムを固めてしまっていてはいけませんね。変わり続けるためには汎用性を高めることも必要かも知れません。
人によって補完されるイメージは全く違う
過去の記憶から、いま目の前にある物の価値が大きく変わることがありますが、たとえば「夕日のイメージ」と言っても、楽しい/悲しい、オレンジ/紫など、イメージは人それぞれです。同じ物を見ても、経験してきたことが違う以上「普通はこうだ」なんて通じません。
過去の売上データや市場データに基づいて商品の色やデザインを決定したとします。カタログのスタイリング写真で使った商品のセット率が高かったりもします。さらには紙面上での見せ方、配色やバランスで商品の売れ方が変わったりもします。
そこで蓄積された法則に基づいて商品開発を行えば「一時的には」うまくいくかも知れません。
結果に結びつくための順番
たとえば、マッサージやドリンクで痩せるとか、その考え方がそもそも太る原因。生活習慣がそのまま体型に現れるので、夢中になれる物を見つけると結果的に痩せる。ダイエットするために無理に食事を制限するのではなくて、生活習慣を変えたことで食べる量も減って、その結果体重が減ったみたいな感じ。
こちらが正しいストーリーだと思うのです。
未来から見たネット
- デジタルデータは体験に結びついた時に価値を得る
- 物のイメージは、過去の記憶から補完される
- Webサービスの競合はライフスタイルの変化そのもの
- デジタルデータは、見る人のライフスタイルという時間軸に沿って流れている
- 「伝える」と「伝わる」こと以前に、それを言わないと伝わらない
- 「今の心理状態とちょうど合う物を、適切なタイミングで魅せる」ことで物が売れることにつながる
- 常に変わり続けることができるシステムをつくる
すべてに共通するのは、それが人との関係であることですね。
——おしまい。